- 市場動向は減少傾向で推移しており、今後も拡大は期待出来ない。
- ただし市場の大手シェアは低く、ニーズが多様化する傾向にあるため中小規模の企業であっても売上の拡大は可能。
市場動向、市場規模
ブライダル・ウェディングに関連する市場は挙式・披露宴以外に指輪やドレス、美容までもを対象とすると2〜3兆円規模に達すると言われており、式場・披露宴だけに限定しても1.5兆円規模の市場規模があると見られています。
市場動向を把握する上で重要となってくるのが「婚姻組数」、「挙式実施率」、「平均単価」です。挙式実施率と平均単価は諸説ありますが挙式実施率は60%前後、平均単価は300〜350万程度の様で、婚姻組数は国の人口動態調査によると2013年で66万組となっております。ちなみに単純計算になりますが、婚姻組数66万組×挙式実施率60%×平均単価300万円で約1.2兆円なので、このあたりが市場規模の目安で問題ないと考えられます。
上記で「婚姻組数」、「挙式実施率」、「平均単価」が市場動向を把握する上で重要と書きましたが、婚姻組数は1970年の約100万組をピークに長期トレンドとしては下降推移となっており、今後も少子化を考慮すると減少することはあっても増加することはないと考えられます。また、挙式実施率に関しても所謂「なし婚」を選択する人が年々増加傾向すると言われており、平均単価に関しても日本経済の状況や少人数での挙式など選択肢の広がりを考慮すると大幅な増加は望めません。以上のことから、長期的な市場動向としては今後も減少推移が見込まれます。
ここまで悲観的なシナリオで分析してきましたが、企業単位で見ると活路がまったくない訳ではありません。業界最大手と言われるテイクアンドギヴ・ニーズで売上高約600億円なので市場シェアは数%に留まっており、大手の寡占化が進んでいない市場です。
言い方は悪いですが人それぞれ異なる「わがまま」を実現する産業のため完全な装置産業化は不可能です。そのため中小規模の企業であっても「他社との差別化」で売上を伸ばすことが可能となっています。
参考資料
ウエディング市場の動向|T&Gのビジョン|T&G|One Heart Wedding|オリジナルウェディング
http://www.yano.co.jp/press/pdf/1211.pdf
http://hrs.tourism.jp/_doc/book/Sample-BridalBizNyumon-Contens.pdf
その他会社四季報など
上位企業の状況
上位企業はテイクアンドギヴ・ニーズ、ワタベウェディング、ベストブライダルの他
アニヴェルセル、ブライダルプロデュース、クラウディア、アイ・ケイ・ケイ、エスクリ、ノバレーゼ、藤田観光などが挙げられます。
- テイクアンドギヴ・ニーズ
同社はハウスウェディングに強みを持っており、2014年3月期の決算情報によると売上高607億円で着地しています。ここ数年間の推移は売上、利益共に拡大基調にあります。
拡大の要因は海外リゾート婚事業の拡大、ホテル提携数の増加、収益性の改善にあるとしており、今後はグローバルでの展開を重視すると発表しています。
決算説明会資料|IRライブラリ|IR情報|T&G|One Heart Wedding|オリジナルウェディング
<追記:2015年7月に新記事作成しました>
- ワタベウェディング
同社はリゾート挙式の最大手で、2014年3月期の決算情報によると売上高477億円で着地しており、リゾート挙式分は196億円です。ここ数年間は売上高がマイナス傾向で推移し、2014年3月期は利益がマイナスとなっています。
2015年3月期も通期での見通しは売上高のマイナスが続くようですが、リゾート挙式に関して商品力のテコ入れや収益性の改善などにより利益に関しては黒字化を見込んでいます。
- ベストブライダル
同社は国内婚礼事業を主力とし、ホテル事業・海外挙式事業等も手がけ2013年12月期の決算情報によると売上高474億円で着地しています。国内事業が堅調に推移していることから売上高はここ数年増加傾向にあり、利益に関しても安定しています。
ホテル事業の拡大が売上増加に寄与しており、今後は持株会社に移行することでM&Aを加速させるとともに、国内事業の多様化を実施するとしています。
会社説明会資料 【IR資料室】/IR情報|BEST BRIDAL ゲストハウスウエディング
※2014年11月時点で取得出来る情報を元に作成しています。