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企業分析の方法|就活・転職・株・投資で使える指標の目安などの入門編

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企業分析をするときに意識すること

就職活動や投資をする時に行う「企業分析」に関して。なにを参考に、どのように進めればいいのかまとめてみたいと思います。
一般的には四季報や有価証券報告書、業界地図などを見るようにと書かれている本やサイトが多いですが、今回は「安定性」、「収益性」、「成長性」の観点から見るべきポイントを絞って説明したいと思います。

企業の安定性を分析するには

企業の「安定性」とは極端な話をすると「すぐに倒産しない」かどうかという点を見ます。
安定性は、上場企業であれば必ずサイト上で確認できる有価証券報告書で「内的要因」を、業界団体の統計などから「外的要因」をそれぞれ分析して判断します。

内的要因による安定性
内的要因では「突発的な支払いが発生しても倒産しないか」という視点で見ていきますが、具体的な指標とその計算式は以下のとおりです。
・流動比率(=流動資産÷流動負債×100)
・自己資本比率(=純資産÷資産×100)
流動比率は短期的に現金化可能な資産が、短期的に発生する可能性のある負債より多いかどうかを表しており、この指標が120%以下だととても危険です。
自己資本比率は、他者の資本に影響されない資本の割合がどれぐらいあるかを表す指標で、一般的には20%以上あれば問題ありません。

外的要因による安定性
流動比率など、いざというときの支払い能力に余裕があったとしても市場の急落や為替など企業を取り巻く環境が大きく変化しているときは注意が必要です。
外的要因は成長性でも関わってきますが、安定性に関しては業界団体の統計などで市場規模などが急速に縮んでいないかという視点で見れば問題ありません。

企業の収益性を分析するには

企業の収益性は一言で言うと「稼ぐ能力」がどれだけあるかという点に集約されます。この項目に関しては有価証券報告書のみを使用し、具体的な項目とその計算式は以下の通りです。
・営業利益率(=営業利益÷売上高×100)
本業で稼ぐ能力を見るときに使用します。5%以上あれば収益性は確保されていると言えます。
・資産回転率(=売上高÷資産)
所有している資産を元手にいかに効率的に売上を生み出すことができているか見ることができます。1倍程度を目安に、1倍程度かそれ以上なら問題ありませんが1倍を大幅に割り込むのであれば所有する資産を生かせていません。
・ROA(=営業利益÷資産×100)
こちらは資産に対して「利益」がどれだけ生み出せているかを見る指標です。5%以上あれば収益性があると判断して問題ありません。

ところで収益性に関して、経常利益ではなく営業利益で見てきたことに気付きましたか?
経常利益も大事な指標ですが株の収益など本業以外の収益が考慮されるため、企業の「稼ぐ能力」を見るためには余計な項目が含まれ過ぎています。
そのため本業の稼ぎだけを見ることのできる営業利益をベースにして収益性を分析します。

企業の成長性を見るには

企業の成長性を判断するためには「ここだけ見ればいい」という項目はないので様々な視点から判断します。

売上高と営業利益の推移から成長性を判断する
順調に売上高と営業利益が拡大しているかどうかという視点から判断します。
少なくとも過去5年程度から来期の予想までを考慮して、それぞれの増加率を見ていきます。
この時、例えば売上の増加率に対して営業利益の増加率の伸びが鈍い時は注意が必要です。安売りなど無理な営業で売上を拡大している場合があります。

設備投資・研究開発費や新商品、新規出店の状況などから成長性を判断する
数字の面では以下のような計算式が判断の材料になります。
・設備投資状況(固定資産の取得金額÷減価償却費×100)
100%を割るのであれば設備の増強がなされておらず、今後の売上拡大に備えていないと見ることができます。
・売上高研究開発費率(研究開発費÷売上高×100)
一般的には5%を超える企業は将来に対する積極な投資を行っているとみなされます。

ただし、上記の数字面以外にも新商品や新規出店などの情報をニュースリリースや経済誌から集め、その動向から成長性を分析することが可能です。
下記のセイコーウォッチの事例のように銀座に高価格帯商品専門の店舗を出店するというニュースがありましたが、前期の決算説明資料を見ると主力のウォッチ事業拡大の要因と高価格帯商品専門店の出店はつながっており、セイコーが描く成長戦略の一端が垣間見えます。

msnjnp.hatenablog.com

市場環境や競合企業の状況から成長性を分析する
売上の拡大が順調だったり将来に向けての投資がしっかりとなされていても必ずしも事業が成長するとは限りません。そのため、外的要因も検討しましょう。

市場環境に関しては様々な要因を加味する必要があります。政府や業界団体、調査会社などが公表している統計もそうですが、ウェディング関連なら婚姻組数や人口、介護系であれば高齢者の人口といったようにニーズの増減を見極めなければなりません。

また競合企業に関しても見てください。市場は縮小していても競合企業から売上が奪えていれば成長する余地がありますし、競合企業が分析する市場のリスクなども共通するため参考になります。情報は有価証券報告書や決算説明資料、インタビューなどで収集することが可能です。

まとめ

企業分析は「安定性」、「収益性」、「成長性」など複数の視点を持って、できる限りたくさんの資料を参考にして分析してください。
特に成長性は将来に関することなので資料によって見方にバラツキが出てきますが、より多くの資料を揃えることで確度が高まります。