リスティング広告の運用代理店を切り替えるリスクは品質スコアと言われるが?
よくブログやフォーラムで議論されている内容として運用代理店を切り替えるとアカウントの乗り換えが発生し広告の品質ランクが下がる(リセット)というものがあります。また、実際に切り替える旨を現在の運用代理店に伝えると「品質スコアが下がるので結果として効率が悪化するリスクがありますよ(だから継続しましょう)」と引き止められることもあるかと思います。
しかし、品質スコアは実際には半日程度で戻るので気にする必要はありませんが、本当のリスクは別のところにあります。
アカウント乗り換えで発生する本当のリスク
そもそもリスティング広告はなんのために実施しているのでしょうか?当然、CVの獲得やなんらかのKPIを達成するためだと思います。そのためにこれまで色々な施策を実施し、PDCAも行ってきたと思います。ある時は採算度外視でCV数を追いかけた時もあったと思います。別の時には予算がいきなりカットされて最低限の出稿しか出来なかった時もあったと思います。
このようにアカウントには試行錯誤の歴史があり、成功と失敗の繰り返しがあります。また、様々な条件下での施策実施の痕跡があります。そして、施策を実施するためにはそれなりの工数がかけられているのです(入稿作業は大変です!)。アカウントを乗り換えるという事は、実は品質スコアのリセットよりも実施したメニューがリセットされる方が失われる資産としては大きいこともあります。
実際に体験した事例
広告代理店や事業会社で実際に運用代理店の切り替えをいくつか経験しましたが、ある時、切り替え直後に運用代理店が効率を重視するあまりCPAは極端に下がりましたが同時にCVも激減した事がありました。その時は売上が足りなかったので採算度外視してでもCVを獲得しなければならなかったのですが、急遽運用代理店に「とにかくコストをかけていいのでCVを増やしてください」とお願いしたところ、そもそも切り替えにあたって効率の悪いメニューを大幅にカットしていたためいきなりコストをかけることができないという事がありました。結果としては商戦期に予算を投下出来ず、非商戦期に予算を余らせるというマーケティングをする上で最もしてはいけないことを経験しました。
失敗しないリスティング広告の切り替えを実施するには
最低限、下記の事は用意しましょう。
- これまでの施策を箇条書きで目的と成果に分けて一覧にする。
アカウントの歴史を次のリスティング広告運用代理店とも教習しましょう。
- アカウントを再構築するにあたって、非効率であってもこれまで実施したメニューは入稿してもらう。
状況が変われば、これまで非効率だったメニューが効率的になる事はよくあります。
- 切り替え後の運用代理店と年間を通した運用計画や事業の状況を共有する。
どの時期が商戦期なのか?意識の擦り合わせは必須です。